日本では古くから亡くなった人の遺体を火葬した後、お墓に収める納骨の儀式を行うまでを葬儀の流れとする風習があります。
この納骨の儀式はただお墓の中に収めればいいというわけではなく、決められた手順に従って行わなければいけません。
そこで今回は、宗派による時期の違いや、納骨の基本的な流れについて詳しく解説していきます。
一般的な納骨時期
一般的に日本では、四十九日や一周忌のタイミングで納骨が行われることが多いと言われています。しかし、これはあくまで目安であって、このタイミングで必ず行わなければいけないというわけではありません。
墓地や埋葬に関する法律の墓地埋葬法にも明確な日時などは記載されていないので、遺族の参列者のスケジュールに合わせて自由に決めることが可能です。
宗旨・宗派で納骨時期に違いはあるのか?
前述したように、日本では納骨の儀式についての規定はありませんが、宗旨や宗派によっては行う時期が決められているケースもあるので注意が必要です。
仏教を代表する宗派の一つ真言宗では、故人が亡くなってから四十九日後に行うのが一般的とされています。これは四十九日に故人の浄土行きが決定されるという仏教の教えが主な理由です。
ただし、必ず守らなければいけないというわけではなく、参列者の予定などで日にちが前後しても問題はありません。
日本の宗教の起源とも言われる神道では葬儀を終えて火葬によるお骨上げを行った日に同時に行われることが多いと言われています。
万が一お墓がない時は、五十日祭、もしくは一年祭として改めて行うのが一般的です。五十日祭は真言宗の四十九日、一年祭は一周忌と同じ意味合いになります。
海外が発祥とされるキリスト教では土葬が基本となるため、納骨の儀式は原則行いません。
しかし、日本の大半の自治体では、土葬で処理することを禁止しているのが実情です。そのため、他の宗派と同じように火葬とお骨上げを行った後、カトリックの追悼ミサに当たる1ヵ月後に納骨を行います。
納骨の流れ
納骨の儀式は定められた流れに沿って行わなくてはいけません。最初に行うのが書類の準備です。日本では遺骨をお墓に収める時に、事前に地域を管理する自治体から埋葬許可証と呼ばれる証明書を発行してもらう決まりになっています。
この証明書がない状態とお寺や墓地の管理業者に断られてしまうので忘れずに用意しておかなくてはいけません。埋葬許可証は個人が亡くなったことを伝える届けを出した時に合わせてもらっておくと、手間と時間を省けます。
書類の準備が終わったら次に行うのが骨を収める場所の選定作業です。遺骨は所有しているお墓に収めるのが一般的ですが、中には所有していなかったり、新しく購入したばかりで出来上がっていないケースも少なくありません。
その場合にはお寺の納骨堂で一時的に管理してもらい、お墓の準備ができてから改めて儀式を行うこともできます。
収める場所が決まったら次は予約です。納骨式は僧侶の読教を始め、やるべきことはたくさんあるため、事前に行う日を決めて予約を取らなくてはいけません。当日になって遺骨を持って依頼をしても断れてしまうので注意が必要です。
仏教では儀式の時にお菓子や果物などの御供えをすることがマナーとされています。そのほか宗派によって細かく内容が違うので、何を準備しておけば良いかわからない時は、寺院などに確認をすることが大切です。
まとめ
遺骨をお墓に収める納骨は、故人と最後の別れを告げる重要な儀式になります。生前の思い出があり過ぎて、大切な人との別れについて簡単に気持ちを切り替えられないという人も少なくありません。
気持ちの整理ができない状態で無理に行ったことで、より悲しみが強くなってしまうこともあります。形式に囚われずに自分のタイミングで行うことが大切です。