お盆やお彼岸になると、それぞれの宗派のやり方で亡くなった先祖の供養を行う家庭も多いでしょう。そしてその際一緒に行われることが多いと言われる仏教行事の一つに、施食会(施餓鬼)というものがあります。
普通の先祖供養と同じように、食べ物をお供えするなどといった供養を行うものですが、施食会(施餓鬼)にはどういった意味があるのか、詳しく解説します。
施餓鬼(施食会)とは?
施餓鬼は施食会とも呼ばれ、読み方は施餓鬼は「せがき」、施食会は「せじきえ」と読みます。
餓鬼というのは、生前に悪行を行った者があの世に行った時、飢えや乾きに苦しむことになると言われていることです。
仏教の世界には「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天上」という六道が存在しており、現世で悪行を行った者が「餓鬼」という世界に堕とされ無縁仏となって苦しんでいると言われています。
そういった無縁仏たちにも、食べ物や飲み物などお供えし供養を施すことを、施餓鬼(施食会)と言います。
施餓鬼(施食会)のお布施の相場
施餓鬼(施食会)は主にお寺で行う場合と、自宅で行う場合の2つの方法がありますが、お布施の相場はどちらの場合も大体3000円から1万円程度になることが多いです。
お寺の場合、施餓鬼(施食会)供養の案内が届くことがありますが、お布施の金額が書いてあることがあるので確認するようにしましょう。
供養のために用いる卒塔婆をお寺にお願いする場合はさらに費用かかかり、1本3000円から1万円が必要になってきます。
自宅で行う場合もお布施の他に、僧侶に足を運んでもらうための「お車代」として、5000円から1万円程度必要になるでしょう。
お布施にはある程度の相場があるとはいえ、供養の一環としての意味があります。また、決して多いのが良いというわけでもないので、自分が納得できる金額に決めることをおすすめします。
施餓鬼のお布施の表書き・裏書きの書き方
施餓鬼(施食会)のお布施の相場を確認しつつ金額が決定したら、次は表書きや裏書きの書き方を確認します。毛筆か筆ペンを使用するようにし、毛筆の場合は必ず薄墨にはせず、黒の墨を使うようにしましょう。
薄墨が使われるのは主に香典で、「故人が亡くなったことで悲しみ涙があふれ、そのせいで文字が薄くなった」という意味があります。
表書きの書き方ですが、真ん中の上部あたりに「お布施」「御布施」と書くことが多く、お寺によっては「施餓鬼料」などと書くこともあるので事前に確認するほうが良いでしょう。
真ん中下部あたりには自分の名前を書きますがフルネームで書くか、名字だけの場合はその下に「家」とつけるようにします。
裏面には自分の住所、氏名、お布施の金額の順番で、横並びに書くようにしましょう。金額の書き方ですが、「壱」「弐」「参」といった漢数字の大字を使用し、円は「圓」、万は「萬」、金額の数字の前には「金」をつけ、例えば1万円の場合は「金壱萬圓」となります。
施餓鬼のお布施の封筒の選び方と包み方
施餓鬼(施食会)のお布施の封筒は、お寺の専用のものを使用することもありますが、そうでなければ白い無地の封筒や「お布施」「御布施」と書かれている封筒を使ってもかまいませんが、地域によって異なる場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。
次にお布施に使用するお札ですが、相場を考慮した金額の新札が望ましいとはいえ、旧札でも問題ありません。
香典の場合は新札を使うと、事前に用意していたという意味になり使用しないほうが良いとされていますが、お布施では供養をしてくれるお寺へのお礼として渡すため、どちらでも良いと言われています。
お札の向きは、顔が書かれている面を表とし、袋の上部に顔がくるように入れましょう。
まとめ
施餓鬼(施食会)は先祖供養とは違いますが、無縁仏となった霊を供養することで自分の功徳になることです。飢餓道に堕ちた霊を、お寺や自宅で供養するためにお供え物やお布施を献上すると、自分の行動を見つめ直す機会にもなるのではないでしょうか。
飢餓は無縁仏だけではなく、人間が誰しも持つ欲深さなどの心も指します。現世や来世の自分の幸福のためにも、施餓鬼(施食会)に興味のある人は是非行ってみてはいかがでしょうか。