新しい供養の形「送骨」という言葉を耳にしたことはありませんか。現在、それぞれの状況に合った弔いの形が生まれ、多様化しています。
「送骨」という文字から骨を送るというイメージは湧きますが、具体的にどのような意味を持ち、どのようにとり行われるのかは知らない人が多いと思います。お墓を探す際の一つの方法の「送骨」について、詳しく見ていきましょう。
送骨とは?
送骨とは、配達サービスを利用してご遺骨を寺院等に送り、そのまま納骨してもらう供養方法を意味します。
従来のようにお骨をお墓のある寺院等まで手で運び納骨するのではなく、多くの場合はお寺や霊園に郵送し、管理・供養を永代にわたって行う永代供養墓に納骨する流れとなります。
事情があってご遺骨を引き受けることになった場合や、供養したい気持ちはあるが金銭的な事情で難しい場合、健康状態や非常に遠方に住み多忙のため寺院まで足を運べない事情がある場合など、それぞれの状況の中で無理なくとりおこなえる供養方法となっています。
送骨に必要なものと流れ
送骨をする場合の流れは、まず専門業者のホームページなどから送骨可能な永代供養先や永代供養方法を選定します。選定したら仲介する専門業者へ送骨キットを依頼し、ご遺骨をしっかりと梱包できる資材や緩衝材などを受け取ります。
送骨するための手順に沿って不備がないように丁寧に梱包していきます。また、埋葬に必要な書類の添付がありますので、何が必要かを忘れずに確認し、必ず添付しましょう。
準備ができたら、永代供養先に送骨します。永代供養の方法としては合葬型の永代供養墓への納骨が一般的に多い傾向があり、納骨してもらう際に墓誌に刻字してくれたり、戒名がついていない場合は戒名を授けるといった処置がとられるケースもあります。
送骨にかかる費用
送骨の費用の目安は、3万円程度となっています。仲介業者を利用した場合だと2万5千円~5万円程度に加えて業者によって送料がかかります。NPO法人でも送骨をサポートしてくれるところがあり、約3万円で合祀墓へ永代供養が可能です。
寺院が単独で受け付けている場合は3万円程度に加えて送骨キットの送料と手数料が約2千円、そして寺院までの送料がかかります。細かい部分については直接問い合わせをして必ず確認しましょう。
また、ご遺骨の郵送を取り扱っている「ゆうパック」は30万円までの損害要償額が付与されています。オプションでセキュリティサービスという商品があり、370円プラスすると損害要償額が50万円までになります。
ただし、ご遺骨は値段の付けられないもののため、補償対象外となる可能性が高いです。万が一郵送事故にあった場合、骨壺や送骨キットなどの実損品のみが補償対象であることは確認しておきましょう。
送骨をする際の注意点
現状として送骨の取り扱いは「ゆうパック」のみとなっています。その他の運送会社では万が一の紛失等の理由から受け付けていませんのでご注意ください。また、ご遺骨の移動に伴う話ですので、「埋葬許可証」「改葬許可証」「火葬証明書」のいずれかが必要となります。
添付書類については慎重に確認が必要です。そして「郵送」という形をとる以上、紛失のリスクは避けられません。郵送事故が起こる可能性はゼロではないですので、「絶対に大丈夫」ではないということも念頭に入れておきましょう。
「送骨」について少しずつ認知されてきていますが、「永代供養」や「ご遺骨を送る」ということに抵抗感や嫌悪感を抱く人もいます。送骨を選択する前に必ずご家族やご親族でよく相談をすることが大切です。
理解を得られないままだったり、連絡をしなかったりすることでトラブルとなるケースもありますので、概要をご家族やご親族に伝えておくことを忘れずに。
まとめ
都心部を中心に生活様式に合わせた「送骨」の需要は増加すると考えられます。事情があってお墓の悩みを抱えている人にとって助けとなる一面がある一方で、まだまだ浸透するには時間がかかり抵抗感を持つ人も多いと考えられます。
しかし、根底にある弔いの気持ちは変わりません。それぞれの状況下に合った供養方法として、今一度検討してみてはいかがでしょうか。