さまざまな事情から、お墓の維持や管理をすることが困難になり、自分の代で墓じまいされる人が増えてきているようです。
ただ、墓じまいの詳細についてはあまり知られていないため、その際必要となるお布施の費用やマナーについて確認しておくといいでしょう。
この記事では、墓じまいに必要なお布施の金額相場と正しいマナーについて紹介します。
墓じまいのお布施金額の相場
墓じまいの際、ほとんどの場合僧侶を招くため、お布施が必要となります。
まず、僧侶の読経とともに行われる開眼供養は、お墓にある先祖の魂を抜くために重要となる墓じまいの儀式です。その開眼供養の金額の相場は、3万円~10万円くらいといわれています。
また、それ以外に費用が必要となることもあります。たとえば、僧侶がお墓へ移動する必要がある場合、交通費として別途「御車代」を渡すことになります。その金額の相場は、5千円~1万円ほどです。
そして、法要後の会食に僧侶が出席しない場合、「御膳料」を渡すことになります。その金額の相場は、5千円~1万円ほどです。
そのほかに、お寺にあったお墓を墓じまいして、ほかの墓所に移動する場合、元のお寺の檀家をやめることになるため、「離檀料」10万円~20万円が必要となります。
地域や宗派によってお布施の金額は異なりますが、お布施の金額相場は、開眼供養やほかに必要となる費用を含めたものと理解するといいでしょう。
お布施の包み方とお金の入れ方
お布施を渡す際、お金を袋に包むことは一般的なマナーとして知られています。
お金の包み方として、まず、白い無地の封筒を使うのであれば、郵便番号の欄がない一重のものを選びます。二重封筒は「不幸が重なる」ことを連想させるため、墓じまいのお布施では使用しないように気を付けてください。
つぎに、奉書紙を使って包む場合、先に半紙でお金を包んで、その上から奉書紙でくるむようにします。地域によって使われることもあるようですが、水引のある封筒は、基本的にお布施で使用しないものと覚えておくといいでしょう。
また、お金の入れ方は、お札の肖像画を表にして上向きにくるようにします。古いお札を裏向きで入れる香典のマナーとは逆になるため、注意してください。
お布施の表書き・裏書の書き方
お布施袋の表書きについてですが、まず中央の上方に「御布施」と縦に書きます。そのほかに渡すものがある場合、「御車代」「御膳料」とそれぞれ上方に書き足してください。そして、中央の下の方に、自身の名前をフルネームで書くか、「○○家」といったように苗字を書きます。
墓じまいのお布施では、薄墨は使用せず、できれば毛筆で、もしくは筆ペンを使用して、通常の黒墨で書きましょう。
また、御布施袋の裏書には、住所、電話番号を記入します。包んだお金の金額は記入しないでも問題ありませんが、記入するのであれば、一般の漢数字とは異なる「壱・弐・参・仟・萬」といった、漢数字の大字(だいじ)を用いて書き入れます。
その際、数字の前に「金」と必ず記入し、金額の最後に「圓也」と書くことを忘れないでください。
墓じまいの際のお布施を渡すときのマナー
墓じまいのお布施は、封筒のまま渡すとマナー違反になるので注意が必要です。
まず、封筒は袱紗(ふくさ)と呼ばれる儀礼用の四角い布に包んで持参し、そこから出して渡すようにします。また、お布施を渡すときに、袱紗から出して「切手盆(きってぼん)」とよばれるお盆に乗せて渡すこともあります。
渡すときに、受け取る相手方が表書きを読めるような向きで渡すようにしましょう。
お布施を渡すタイミングは、墓じまいの供養が行われる前後というのが一般的です。
供養の前であれば、供養当日に僧侶がお越しになったときに挨拶をしてからお布施を渡します。供養の後であれば、お礼の挨拶とともに、お布施を渡すようにしてください。
当日の僧侶の様子をうかがいながら、自然なかたちで渡せるタイミングを選ぶといいです。
まとめ
墓じまいを滞りなくすすめるためには、僧侶にお願いをして、読経・開眼供養をしてもらう必要があります。僧侶に対して誠意を示すためには、失礼のないようなかたちでお布施を渡すことが大切です。
まずは、墓じまいの金額の相場についてきちんと把握し、自身の事情に合わせて準備をすすめ、正しいマナーでお布施を渡せるようにしてください。