最近ではお墓参りなどの利便性や管理費の負担などを理由に、お墓を別の場所に移す「改葬」を選択する人が増えています。すでに埋葬されている遺体や遺骨の移動は、法律で定められた手順やルールに則って行わなければいけません。
そこで今回は、改葬を行う場合の正しいやり方を説明すると共に、必要となる費用の相場について詳しく解説していきます。
改葬の手順や流れ
お墓の改葬をする上で最初に行わなければいけないのが受け入れ先探しです。
手順を誤って先にお墓を取り壊してから移転先を探す形を取ってしまうと、決まるまで遺骨を保管するのが困難になります。スムーズに手続きを進めるためにも、事前に新しい場所を決めて契約を済ませておくことが大切です。
移転先が永代供養墓などあらかじめ受け入れ準備ができている場所であれば問題はありません。しかし、新たに土地を購入してお墓を建てるのであれば、墓石の購入と準備もする必要があります。
移転先が決まったら次に書類の準備に移ります。改葬では自治体からの許可書や受け入れ先の使用許可証といったいくつかの書類を用意しなくてはいけません。一つでも足りないと手続きが進められなくなるので、しっかりと確認しておくことが大切です。
全ての準備が整ったら遺骨を取り出す前に閉眼法要を行います。これは使用している仏が使用している墓石と別れを告げるための儀式で、管理者や石材店も立ち会う形になるので、前以て日程を決めておかなくてはいけません。
儀式が終わって無事に遺骨を取り出したら、移転先で法要と納骨を行って収納をすれば完了となります。
改葬手続きに必要な費用
手続きを行う上で事前に知っておかなくてはいけないのが必要となる費用です。改葬に掛かる費用は墓地の広さや地域によって細かく異なります。
墓じまいから改葬の費用についてこちらで解説しています。
移転先で新たにお墓を建てる場合は、墓石の購入費用などがかかってきます。
少しでも改葬の費用を抑えたいと考えるのであれば、使用しているお墓を壊さずにそのまま移動させるという方法もあります。この場合墓石の運搬費用は数十万円以上で済むので経済的です。
改葬を行う上での注意点
改葬を行う上でいくつか注意すべきポイントもあります。その一つが費用の請求です。お寺が管理をしている墓地を利用している場合、改葬をするに当たって事前に許可を貰わなくてはいけません。
大半のお寺では問題なく許可を貰うことができますが、お寺によっては離檀料が必要な場合があります。
離檀料の金額についての決まりはなく、それぞれのお寺が自由に決められるので、双方が納得した形で縁が切れるように話し合う必要があります。
そのほか、遺骨と一緒に使用しているお墓も移転する時に気を付けなくてはいけないのが利用制限です。墓地の中には、古いお墓を持ち込んで使いまわすことを認めていない所もあります。思い入れのあるお墓を壊さずに使いたいという人は、契約をする前にこの点を調べておかなくてはいけません。
改葬に必要な手続き
墓地を移転するためには改葬許可証が必要で、改葬元の市区町村で発行してもらいます。
改葬許可証の発行には、遺骨が埋葬されていることを証明するための埋蔵証明書、移転先の管理者に発行してもらう受入証明書などの必要書類を揃えて、改葬許可申請書と一緒に市区町村の窓口に提出します。
改葬許可申請書には、死亡者の本籍や亡くなった時の住所、火葬した日時や場所、改葬の理由、改葬先の場所などを記入するので、わからない場合には事前に調べておくようにしましょう。
交付された改葬許可書を移転先の管理者に提出することで、正式に改葬が許可されたことになります。